父が亡くなりました。
88歳でした。
ゆっくり時間をかけて
心の準備をして
これが最後になるかも と分かったような
面会にも行って
最後は母と兄とお義姉さんが
交代で付きっきりでいてくれて
安らかな大往生だったそうです。
したいことも
行きたいとこも
まだまだいっぱいあったやろうなぁ。
でも、まぁもう、しょうないやろ、
そこそこいろんなこともしたし
いろんなとこも行ったでって
笑ってるような気がして
そう思うと、そうやねぇって思ったり。
身近な人が亡くなるのは初めて。
十分に準備して逝ってくれたのは父らしくて
心残りないくらい頑張ったのは
母と兄らしくて
遠くから思うしか出来なかったのも
私と弟らしくて
とにかく 父が亡くなりました。
父は大阪で100年続く作業服メーカーの3代目で
今は兄がその会社を継いで経営しています。
バブルを謳歌して
その後始末に苦しんで
家では寡黙で、いつも何か考えてて
ちょっと怖いけど、
そういえば本当に直接怒られたことは
一回もなかった。
それはいつも母の役目で
娘には甘いお父さんでした。
私がこんな風に
会社を立ち上げて服を商ってることは
間違いなく父方の血がさせてることで
父と母の理解や協力がなかったら
出来てないことで
どこまで出来るのか分からないけれど
ちゃんと経営出来るようになろう
あれやこれや心配や迷惑かけた分
父や母が誇らしく思ってくれるような
娘になろうとずっとずっと思ってます。
間に合わなかったかも。
でも、西宮阪急に立派な店作れたのも
栄に2店舗目オープン出来たのも
ギリギリ少しは間に合ったのかも。
ちょっと押せ押せで、
ちょっと無理のある急ぎ方で
タイミングだったのは
それを父に見せてあげるためだったのかなぁって
神様の采配だったのかなぁって
今、すとんと腑に落ちたような気がしてます。
やっぱり、まだまだ頑張れって、
言われてるように思えてなりません。
神様にも、今度は父にも。
もうひと回りも、ふた回りも
人間大きくならないとあかん。
頑張らんとあかんなぁ。
これからはいつもそばにいて
見ててくれる存在になったんやね。
お父さん、きっとやっと自由な身体になって
好きなとこ行って
好きなもの見て
楽しく過ごせるようになったんやなぁ。
動かれへんの、
何をするにも人の手を
いっぱい借りないとあかんの
つらかったやろなぁ。
どうしようもなかったけども。
お父さん、かっこ悪いこと嫌いで
ええかっこしいで
贅沢が好きな人やった。
家を離れたのは
ちょっと寂しかったかもしれんけれど
いい施設に入って
優しい介護士さんたちに
手厚く介護してもらったことも
毎日のように奥さん来てくれて
子供達も孫も代わる代わる来てくれて
それはちょっと嬉しかったと思う。
みんなね、行きたくて行ってたから
お父さん、みんなに愛されてたから。
お父さん、そういうの好きやからって
にいちゃんが盛大なお葬式するって
言ってることも
そうやな、そうでないと って
うんうん、派手にやってあげようって思うのも
なんかね、いいな、そういうのって。
あぁ。そうか。お父さんはもういないのか。
本のタイトルやね、
でも、きっと何回も何回も
そう思うんやろうね。
お父さん、ありがとうございました。
お父さん見てたから
「社長さんになりたい」が
私の夢やったんやと思います。
社長さんにはなったけれども
それはそんなに簡単なことではないこと
生易しいことではないこと
今毎日学んでます。
大学卒業した時にも
離婚した時にも
お父さんの会社で働くことは
絶対にしたくない、と思ったのは
なんでやったんかと考えると
ずっとお父さんの元でぬくぬくと育ったこと
自分の足で立ったことが一度もないことが
人間として半端で甘ったれなことが
ものすごいコンプレックスだったのだと
今はわかってます。
そして今となっては
自分の足で立つなんてこと
何様じゃ、おこがましい、と気づいてるよ。
つけてくれた教育や
育ててくれた価値観や
身体に染み付いてる商売人の家庭のありようや
物理的に貸してもらったものや
(はい、これからも返し続けます)
そんなこんなもの全部で
どうにかこうにか生きていけるんやと
ようやく気がついてるよ。
ひとつの商いで
一族、家族が食べていけることのすごさ
それを100年続けていることの重さ
何もわかってなかったなぁ。
ほんまにアホです。アホでした。
お父さんとお母さんの娘に生まれてよかった。
本当にありがとう。
これからも、見ててください。
あれが俺の娘やねんでって
天国で嬉しく思ってもらえるように
頑張るよ。これからも。
死ぬまで頑張る。
お客様も
お取引先も
働いてくれてる人も
みんなが嬉しいような会社になること目指して
頑張っていきます。
もらったもの、
教えてくれたこと全部大事にしていきます。
時間、足りんかもしれんけど
神様がくださる時間全部使って頑張る。
とにかくまた会えるまで
笑って会えるまで
走り続けます。
見ててね、お父さん。
ほんまにありがとう。
どうぞゆっくりしてくださいね。